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2016年受賞作 / Award winning projects in 2016

2016年は「コックピットのある家」、「遊牧民の家」、「丈六の家 — House with Gaia Layers」の三つの住宅が建築賞を受賞する。建築主をはじめ工事に携われた関係者の方々、ありがとうございました。それぞれの内容をご紹介します。

We happened to receive 3 awards in 2016 for the following projects.

“House with cockpit”, “House for a nomad” and “House with Gaia layers”

炎天下の上棟

秋の気配が感じてきた炎天下で、住まいの棟を上げる。

大工さん、かんとくさん、お疲れ様でした。

 

自然乾燥地場杉の柱と梁をしっかりと組み上げる。色、つや、香りがいい。

光と陰のリズムが、空間をつくる。

 

 

 

 

 

 

ARCASIA(アルカシア)賞受賞を考える

アジア19カ国から建築家が参加するARCASIA(アジア建築家評議会)の2016年9月の香港大会で、 House with Gaia layers(丈六の家)が、住宅部門でARCASIA賞を受賞する知らせを受けた。香港大会のテーマは、多様性と成長—The Green Age of Asiaである。

受賞作は、14年前に当時築25年の和風住宅をリフォームした再生住宅である。バブル崩壊後、建築を建てては壊すスクラップ・アンド・ビルドへの疑問、ゴミで一番大きな割合を占める建築廃材問題や、シックハウス病が社会課題に出た頃であった。

 

 

この住宅は完成後から、建築主の日々の感動や喜びに支えられ、緑が息づき、時とともに住空間の魅力が増していると感じていた。10年を過ぎて、賞に応募させていただく。

2012年、環境技術が目覚ましく進展する中で、JIA(日本建築家協会)から環境建築賞を受賞する。2014年には中国民族建築学会からは奨励賞を受ける。そして今回、地球環境時代に様々な建築的挑戦が始まっているアジアで、ARCASIA賞受賞の知らせを受ける。時間や国を超えて評価していただいた悦びとともに、この建築を支えていただいた関係者に感謝したい。

同時に、9月29日の受賞日まで詳細はわからないが、14年経てなお審査員を惹きつけることは何かを考えたい。これからの時代が求める住空間のあり方を考える機会である。

 

 

写真は15年目の5月のある日に訪ねたスナップ写真で、夕日が差し込んだ広間空間の一時である。四季や天気、朝から夕刻まで光の角度や強さ、色が変化する太陽の動きと、四季折々の様々な緑の表情を通して、この室内に光の空間が生み出される。身体は自然の刻々と変化する時間を感じる。午後室内が金色の光と影に染まる時も経験する。

建築主は、雨の日、台風の時も雪の日も、朝も夕方も、室内と外部の庭の樹木、空や田園空間と一体となった景色はとても魅力的であると言われ、家族や人と過ごす時間も豊かになり、床磨きがきっかけで今や毎年世界のフルマラソンに参加するようになり、活動的なライフスタイルをもたれている。

夏はほとんどエアコンを使わず、窓をあちこち開けると心地良い風がめぐり、冬は朝、晩はストーブをつけるが、日中はほとんど暖房しなくて済んでいる。

 

 

かつての伝統的空間は、縁側や深い庇や軒と言った内部と外部の間に、緩衝空間とか中間領域といったゾーンがあった。暑さや寒さ、風雨を和らげたり、外の自然と内部との間をつなぎ、そこが心地良い場所になったり、人と人あるいは人と自然をつなぐ場所になった。

具体的な空間的仕掛けは別として、どの文明圏においても、こうした気候・風土の中から育んだ知恵や生活文化を生む空間があった。

現代は安易な経済性や効率性に陥りがちで、そうした自然の恵みを生かさずに、エアコンや機械電気機器や設備類に頼り、壁と窓だけの外か内という単純な境界だけになってしまっている。

 

 

Gaia layersというタイトルの丈六の家は、心身の再生を意味する寝室を核に旧住宅を入れ子状にして、外側に伝統的木組みで包むようにする。紫外線を抑制し、断熱するLow-E複層ガラスの開口部と嵌め殺し窓で表皮を作り、さらに自然の中で生かされていると感じる等身大の緑の植栽で囲む。

寝室から居間、外部の庭や様々な木々、さらに地域の田畑、山々の風景までつながる、何層かの空間的仕掛けで包むコンセプトを、Gaia layersと名付けた。

 

 

室内空間から自然と対話ができる感性を育むことを意図する。生活排水を浄化した水が地面を潤し、空や木立を映し込む。蝶や鳥もやってくる。緑は愛着もって維持され、樹木群から刻々と変化する自然の美と心地良い微気候を生み、室内に快適空間をつくっている。

室内の自然乾燥の地場杉材は、癒しをもたらす木の成分が発散され、色、つや等、経年変化の美をつくる。再生して14年、改築時より一層住空間の魅力が増している。

 

 

小さな住宅でも地域の自然と循環を意識した生命の生存圏の中の住環境として捉える考え方を大切にする。単なる視覚的な美しさや快適さからではない、人間と自然の豊かな関係性をつくる建築のあり方、姿勢が評価されたと推測する。

建築は時間を経て古くなるというより、新築時より時間と自然の変化ともに空間がより魅力的になるという住空間の成長が注目されたのではないだろうか。

 

住宅特集12月号 ー 日本全国地域特集

新建築住宅特集12月号で、地域特集が組まれた。沖の洲の家と地域性について以下の考えが紹介された。

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モダニズムとグローバリズムの中で地域性を育む

地域の自然環境と関係性をつくり、その土地で育んできた風景、知恵や技術、時間やコミュニティの地域資産を生かさなければならないと考える。

徳島は四国の東南に位置し、剣山をはじめ比較的高い山々から海に面していることで、温暖で雨が多く、杉の適地となり、林業が栄えてきた。日本三大暴れ川の一つ吉野川と那賀川の流域を中心に、海岸部を加えて地域がつくられる。山から海へと大河が物質循環の担い手となり、豊かな農産物や海の幸を育んできた。台風や大洪水、日射量も多く、地域に根ざす知恵や技術、文化が培われ、集落や建築に風土の特徴を見出せる。

第一次産業を成り立たせていた人と自然の循環関係を、居住環境や建築空間に豊かに再構築できないかと考える。地域を基軸にした感性や想像力を育む建築を目指したい。

徳島の山で育てた葉枯らし乾燥杉を伝統工法の技を生かしてしなやかに組む。若い大工塾生も参加する。色、艶、粘り、免疫性や癒し成分を発揮する自然乾燥杉を使い、長寿命で大地に力強い木造架構空間をつくる。木、土、石など地場材を活かし、内・外部空間に風景の連続性をつくり出す。

大地との一体感を感じられる持続可能な暮らしの場をつくることで、人が集え、元気になることを想う。( 新居照和&ヴァサンティ)

 

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21世紀、日常生活と地球環境の密接なつながりが意識的に追求される時代になった。気候変動、地球環境問題とエネルギー、災害、文化の多様性・・・、大きな課題であるが、私たちの居住環境を考える上で、「地球規模で考え、地域で行動する。」「地域を追求し、世界につながる。」という意識は、ますます重要になる。

こういう観点から地域を捉えると、様々な地域から魅力的な出会いや新しい試みがでて、豊かな可能性へとつながりそうだ。地域への眼差しに、もっともっと期待したい。

 

これからの環境と建築 講演会

暑中お見舞い申し上げます。

経験したことのないような集中豪雨が九州、北京と続き、突然の酷暑、異常気象と記録的な豪雨の更新が日常的になりました。

7月28日(土)午後3時から徳島市の建設センターで、「これからの環境と建築―木の魅力を拡げる」、建築家中村勉氏による講演会が開催されます。中村氏は環境建築に対する造詣が深く、日本建築学会のこの分野や日本建築家協会環境行動ラボで長年主導的役割を果たされています。氏の建築の仕事、大東文化大やみなと保健所を拝見しました。さまざまな環境と建築の新しい取り組みが随所にあり、快適でありながら、同規模の施設に比べ光熱費などのランニングコストはかなり少ないそうです。何よりも大東文化大は、素晴らしい出会いを生みそうなすがすがしい空間をもつ学び舎です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主催は日本建築学会徳島支所で、徳島県建築士会、徳島県建築士事務所協会、日本建築家協会徳島地域会の協賛です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講演会に至るお話です。

大きな課題ですが、地震・津波への対策、人口縮減と地域活力の低下が横たわり、顕著になってきた気候変動と地球環境の問題、原発問題からエネルギー問題の深刻さがより顕在化し、低炭素社会への新たな取り組みが一層急がれるようになりました。

住宅・建築物における省エネ化施策がハードルを上げて、具体的に実施され始めます。2020年までには、新築建物はすべて次世代省エネ等級4以上で、ゼロカーボン化が義務付けられ、2050年までには、既存建物を含むすべてが、ゼロカーボン化するロードマップが示されています。

一方、そうした施策がどうしても画一的に行われがちになることで、日本の多様な気候風土や豊かな地域性を反映した住環境や、伝統の知恵を生かした住まいの維持・実現が難しくなる危惧がでてきます。

10年余り前に施行されたシックハウス対策は、東京のような大都市の中あるいは深刻な問題の対処としては、説得力があったかもしれませんが、北海道から沖縄まで強制的かつ画一的に、24時間換気扇を電気で動かすというおかしい矛盾を連想します。

 

省エネ化建築は最初に、太陽光発電などの装置や効率のよい機器にあるのではなく、まず断熱化や遮熱をし、住宅や建築の基本性能を上げ、自然の恵みを生かし、エネルギーを使わなくてすむ心地よい居住空間を目指すことが大切だと考えます。

北型モデルである高気密・高断熱化は、徳島のような気候風土ではどうなのでしょうか。夏は高温で雨が多く湿度の高い地域で、木造建築を高気密化することは自然の働きに無理が生じやすいです。

低炭素・人口縮減時代へ、自然を活かし、日本の多様な地域環境特性と風土に対応した、豊かで自立循環的な建築や地域づくりの考え方が大切だと思います。地域性や気候特性を活かして、光熱費や消費エネルギーを少なくし、かつ快適で豊かに暮らす住まいや地域の環境をつくりだす考え方が求められます。

地球環境時代の技術や思想と、地域で培ってきた自然を生かす知恵や素材、伝統技術を活かした表現を大切にする多様なゼロカーボンの建築を目指したいものです。

これからの環境政策や建築のあり方に対して、多くの方々が関心をもて考えていく機会になればと、講演会を企画しました。

 

 

 

第十堰日誌書評

「森は海の恋人」活動は、漁民による森づくり、森と川と海を一体としてとらえる環境認識、子供たちへの環境教育のシンボル的な運動として位置づけられている。その中心的人物、気仙沼の畠山さんによる「第十堰日誌」書評が、5月27日の読売新聞に掲載された。つながりは感動と大きな励ましを与えてくれる。

 

魚が上りにくく、改善が望まれる第十堰の魚道。魚は物質循環の担い手でもある。

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魚道を遡上する鮎

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地場の青石組みで補修された吉野川第十堰の改修イメージ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お知らせ

吉野川第十堰近くの「お堰の家」を基地に、若者たちが川と人をつなぐ活動をしている「川塾」から、

夏キャンプの募集案内がでました。元気な子供たちの声が聞こえてきそうです。

お申し込みに関しては、川塾へお問い合わせください。

 

 

三加茂の家見学会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竣工します三加茂の家を、ご案内します。

場所は徳島県東みよし町です。見学ご希望の方は、

前日までに下記にお問い合わせください。

見学日時

5月27日(日)午後2時~4時

5月29日(火)午後1時~4時

新居建築研究所

TEL:088-642-7257

E-Mail:こちら

 

足場が外れる

三加茂の家は足場が外れ、これから内部の仕上げと外周りの工事が始まります。

雨が降りそうな曇り空でしたが、建築が地域の風景を映えさせ、自然に生かされる感じがしてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品選集

2012年度日本建築学会作品選集に沖洲の家が選ばれました。建築主、設計者、施工者が力をあわせて取り組み、2009年末に出来上がりました。5月12日、高知工科大学で行われる建築学会四国支部総会で、沖洲の家の仕事を説明させていただきます。

 

二世帯の家族をつなぐ駐車場屋上階の楠木広場。4月のこの日は、若葉がいっぱい出ていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街路から階段を上がり、楠木広場へと上がっていきます。昨年の夏

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上広場で水遊び

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2つの世帯が集まると、住棟間の空きが中庭になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

杉のいい成分を生かす天然乾燥させた木頭杉と土壁漆喰塗りで包まれた広間空間。

ガラリ戸から心地よい風が入ってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

防災シンポ

1月に東北から建築家を招き、徳島市で意義深い防災シンポジウムが行われました。シンポの翌日、みなさんと徳島の先人の知恵を語る環境や建築遺産を巡り、吉野川と第十堰を案内しました。その時の出会いをJIA(日本建築家協会)マガジン3月号、四国便りに「東北の建築家に学ぶ防災シンポジウム」として報告させていただきました。クリックしてご一読ください。

 

第十堰改修・保全案のイメージスケッチ                                    1997年作成

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人と大きな自然の営みが出会う魅力的な場所に、

水害防備を兼ねた季節感漂う樹林帯と青石組みを生かして、生態系豊かな水環境をつくる。

川遊びを通じて環境教育や、地域遺産を知る楽しいフィールドミュージアムの場にしていく考えはどうでしょうか。